メルボルンからシドニーへ

teradaya2016-12-31


メルボルンは人工的な行政の街で美しくはあるが、休暇シーズンのため旅行客以外は閑散とした雰囲気である。
名高い国立博物館に朝行ってみる。ベルサイユ宮殿特別展をやっていて地元の人はそれがお目当のようだが、初見参なので一般展示を見て回る。アボリジニ美術は世界随一のコレクションだそうで、装飾品、陶芸、絵画、織物等多くの展示が広々とされている。現在の作家のものも多くあるが、作り手知らずの手の込んだ品々には、なぜこのような色彩感覚が生まれたのか、またなぜこうした意匠で模様が作られたのか、天啓のようなものをつい感じる。
西洋絵画は、旧世界から持ち込まれたものがベースだが、入植初期のものやその後の拡大を描いたものには記録性があり興味深い。結構早期からブルーマウンテンやタスマニアの高山まで入り込んでいたことがわかるし、旧世界の風俗とアボリジニ社会との接触なども絵で見るとよくわかる。シドニー湾の蒸気船艦隊の姿を描いたものなども、今の景色と重なってみえる。
通常展示は無料のうえ、土日は駐車場も開放されているのは驚き。


ゆったりとしたモダンな建物 / 博物館はここ

奥は湖となっていて憩いの場 / お土産に砂糖壺を買った(ちょっと青海波っぽい)

続いて、戦争記念館に足を延ばす。底抜けに明るい青空の下、たくさんの人が家族で来ている。入場は無料だが寄付やミュージアムショップの売り上げが基金に回されるとのこと。「Great War(一次大戦)とオーストラリア」の特別展をやっていたので、二次大戦の側は比較的人は少なかったが、それでも普通に家族連れや夫婦が丁寧に見て回っている。ことさら日本を強調はしていないが、すぐ側まで迫ってきた強大な敵として建国以来初めて侵略される恐怖を感じたことがよくわかる。ダーウィンの爆撃、シドニー湾の潜行艇の件以外に、多数の犠牲者がでたSANDAKANの行軍等の日本であまり知られていない史実の展示も多くあった。第一次、二次大戦とも欧州での戦いへの関与も深く詳細な展示がされ、また最近の国際紛争での犠牲者にも触れられていた。4時間近く見て回り、哀悼の意を示す赤いポピーを買って、また若干だが寄付をして記念館を後にした。周囲のオージーからはいつもフレンドリーに接してもらっているだけに、彼らの目から見えている歴史についてもちゃんとわきまえておこうと思う。
記念館からまっすぐ行政中央エリアにつながる

真白な新国会議事堂をちらりとみて、シドニーまで一気に戻る。結局3日で1025kmの走行であったが、高速走行主体なので思ったよりは楽。

しかし、さすがにくたびれたのでシドニー湾の花火大会は来年にでもと思い、テレビで楽しむことにする。アパートのベランダからも一部が見えて大きな音が響いてきた。住人たちはみなベランダでシャウトして大騒ぎ。でも、建設中の向かいのビルのため来年は見えなくなりそうで残念。

TVは、年末放送もあるが、ライブクリケット等も人気のよう。24chはいつものとおり24時間ニュース。平和な年となることを願う。