クレイドル山

teradaya2018-01-02

タスマニアは大きさは北海道と九州の間くらいとのことだが、緯度は高く南極に近い。クレイドル山(Cradle Mountain)から60km南のセントクレア湖(Lake St Clair)まで歩くオーバーランドトラック(Overland Track)というロングウォークコースがありぜひ歩いてみたいのだが、所用5〜6日とのことであり今年は無理。一度クレイドル山周辺を歩いて所々の仕組みに慣れて土地勘も得ておきたいし、どうせなら登頂してみようと思うところ。
セントクレアを6時に出発し、一路西へ。とはいえ、一般道をつないでいくので右左折も多く結構疲れる。こんな狭いところが110km規制というのがたくさんあるが、皆飛ばしている。ニュージーランドよりは北海道に近い景色の中を一気に走って8時10分にビジターセンターに到着。ここで車を停めて、入域料を払う。混んでいるかと覚悟していたが、まったくゆったりしたものである。

入域料を払うと、1日シャトルバスが無料で乗れる。10分おきとのことであり、奥のダブ湖(Lake Dave)までこれに乗せてもらう。女性ドライバーは運転も解説も上手。昨日までは5日連続雨だったが、今日は降ってないからラッキーねとの話を聞きながら、20分で到着。
標高940mくらいなのでさすがに肌寒く、ソフトシェルなど羽織って9:00ちょうどに歩き始める。観光の人を追い抜いて湖畔の道(Dove Lake Circuitとの愛称)を反時計回りに歩き、1223mのマリオン展望台(Marion Lookout)まで一気に登る道(Lookout Link)に入る。ジャケットを脱いで一気に登ると、展望台で10人ほどに遭遇。ちょっと休んでからキッチン小屋(Kitchen Hut)目指してオーバーランドトラックの快適な木道を行くが、雨がポツポツと。小屋まで少しのあたりで本降りとなってきたので、レインウェアを装着。雨男の本領発揮である。

一瞬青空もみえたが...。

虹がでていた / 稜線は木道が続く

マリオン展望台 / キッチン小屋(雨になった)

さすがにこれではクレイドル山への岩の道は滑りそうでもあり、まずはオーバーランドトラックを辿ってみることにする。キッチン小屋で休む人を見送り、そのまま木道を行くと、池塘やハイマツがでてきてなんだか東大雪ニペソツ山のような雰囲気。アップダウンも少なく、コリンフレッチャーの「遊歩大全」で憧れたバックパッキングの世界に近い気がする。ずっと何日もどっぷりと一人で歩いていきたいと思えてくる。30分ほどいくと、父子3人組と遭遇。ずっと歩いてまもなくダブ湖まで到着する日だそう。中学生くらいの男の子2人も細っこいがたくましい顔に思える。
雨も上がり、少しクレイドル山の岩も見えてきたので、キッチン小屋近くまで引き返す。山は雲の中だが、幸い雨は上がったので、山頂へのトレース(Summit Track)にはいる(一旦、Face Trackという周回路に20mほど入ってから分岐するのでちょっと分かりづらい)。オージー男女4人組がすごい勢いで登っていくので道を譲る、がさすがにオーバーペースのようで20分ほどで岩場に入るところで先に行かせてもらう。

岩場は大きな岩が堆積したような感じだが順層で手がかりも多いためクライミング経験者には楽勝。とはいえ、結構な傾斜を越えるので岩になれない人には恐怖心を抱かせるようで、途中で引き返す人が大半。時々ポールがあるだけでロープや鎖の類は全くなく、日本のようなペンキ印も皆無。とはいえ浮石がほとんどないので安心して最初のピークまで登り、越えた先を右にトラバース気味に少し下って、最後の登りを一息。頂上は意外なことに平らで広く、展望図台が設置されている。2人の男性オージーが「ランチタイム!」と迎えてくれた。「怖いもの見たいならそこ覗いてごらん」とのことなので頂上奥を覗くとガスのかかった絶壁で滝谷のようであった。

最初のピーク / 一旦トラバース気味に下り...

最後は平坦な山頂部に到達(オージー2人だけ)  /  穂高滝谷のよう

自分もようやく初めて腰を下ろして昼食のビスケットとチーズを食べ、水も補給してから下山開始。その前に平らな頂稜にトレースがあるのかちょっと見にいってみると立派なトレースが有り、写真ではいつもクレイドル山と対になっているとなりの尖ったスミシーズピーク(Smithies Peak)まで行けそうである(地図には道は載っていないが)。下山の途中で下で出会った4人組(の最後の女性が特に)が苦戦しながらも最初のピークを越えるところ。ガッツだ!
さらに降りると、オージー旦那と日本人奥さん(奥様大苦戦中)とすれ違い、さらにオーバーランドトラックの父子3人にも遭遇(登頂はやめて降りるところ)。

実は山頂は広々している(霧でレンズに水滴) / 岩の道を下山

ポールだけが目印 / ここまでくれば一安心(ベビーキャリアのカップルも)

まだ時間があるので、キッチン小屋から周回路(Face Track)からでウィルクス湖(Lake Wilks)経由で湖畔に戻る道を行くこととする。同じコースを行く親切なオージーカップルが、オーバーランドトラックの予約をしようとしたら今シーズンは無理だったとの話をしてくれる。予約がいるとは知らなかったぞ。ちゃんと計画しなくてはと思う。周遊路を行く2人と別れて、急傾斜のWilks Lake Trackで静かなウィルクス湖を眺めて湖畔まで降りる。この間誰にも会わなかった。対して、湖畔周回路Dove Lake Circuitは大人気。よく整備されていてかなりが木道なので歩きやすく、杖の人も頑張っていた。
これは州のベストショートトラックのひとつだそうだ。途中氷河岩(Gracier Rock)展望台等を経て、無事駐車場に帰着。ちょっと右膝内側が痛く、スクワットやらねばと思う。




ウィルクス湖 / ドーブ湖畔周遊路に合流

再びシャトルバスに乗り、ガイド運転手さんの案内で遠くにウォンバットを見たりしながら車に戻った。
帰路は、宿の女性オーナーの勧めもあり、一旦バーニー(Burnie)という港町にでてからバス海峡(Bass Straight)沿いの主要道路1号「タスマン・ハイウェイ」で帰る。明るい海と青空、船や鉄道、放牧や農作業を見ながらの大変楽しいドライブであった(私の「人生ベストドライブウェイ」上位5位に入ることは間違いない)。急にWham!が聞きたくなり、ずっと流しながら運転。19:40宿帰着、走行約400km。

(コースタイム)
9:00 ダブ湖駐車場 - 9:45マリオン展望台 - 10:25キッチン小屋 - 11:00オーバーランドトラック引き返し - 11:30クレイドル山トラック分岐 - 12:10/12:20山頂 - 13:20フェイストラック分岐 - 14:05 ウィルクス湖トラック分岐 - 14:30ダブ湖トラック合流 - 15:30 駐車場

今日の花々&苔類







(機材)
OM-D E-P5 + M.Zuiko 14-150mm
iPhone 7