硬派な餓鬼岳 

teradaya2012-07-14


餓鬼岳は「崖岳」から転じたとも聞く。ずっと気になっていた山であるが、背も高くないし派手さもないのでこれまで訪れたことがなかった。今回梅雨の合間に初めて登ったが、白い花崗岩の岩峰群と美しい花々を抱いた端正な山であった。

前夜、今シーズン初のムーンライト信州号に乗り、穂高駅に5時前に到着。バスに乗るつもりであったが、男女3人の若者とタクシー相乗りで5時45分に中房温泉着。運転手さんによれば明け方は大降りだったそうだが、今はあがっている。中房温泉には、燕方面に向かう大勢の登山客。200人くらいはいるかも。駐車場も満車である。

 
さわやか信州号で穂高駅へ           燕方面には山ガール大勢           中房温泉から出発


東沢の吊橋            こういう渡渉が沢山        白い小花のミヤマダイモンジソウ

S木さんかE大王であれば迷わず山ガールを追いかけてしまう状況であるが、硬派の私は一片の迷いもなく6:05 今にも降りそうな天気の下出発する。温泉敷地からつり橋を越えて東沢へ。ここのところの雨で増水している。渡渉を繰り返していく。途中から小雨。下草でびっしょりになる。沢沿いにどんどんいくが、前後に誰もいないが、1人か2人の新しい足跡があり、先行者がいるのが分かる。蒸し暑い中ぶよがまとわりつくのでモスキートネットを被って沢を詰め、ときどき花の写真を撮りながら、8:25に東沢乗越に到着。


東沢乗越             クロマメノキ(?)          新芽の季節
(東沢岳の岩)


少し休み雨具の下を着て、稜線の熊笹の道をいく。途中、雨脚が強くなったのでTシャツの上に雨具の上着をはおる。眼前には白い花崗岩の岩々。この山群の特徴である。東沢の岩峰を越えていくと、花崗岩の岩峰が次々とでてくる。梯子等が整備されていて問題ないが、結構なアップダウンで時間はかかる。ケンビシの岩場も餓鬼小屋の方々によりよく整備されている。小川山を思わせる岩々だが、ルートはたぶんない。雨はあがり、少し風が出てきた。






コケモモ(?)              這松にも花         ガス湧く稜線

11:25赤い屋根の小さな餓鬼小屋に到着。初めて2人の人に会う。はるか昔高校生の頃、この小屋と山頂の写真を見て、いつか行ってみたいと思っていたが、ようやく来れて嬉しい。11:45山頂に向かう。ものの5分で到着。少し視界が開けて、ケンビシの稜線の片側にガスがかかっているのを眺める。唐沢岳は時間的に難しそうなので、餓鬼のコブまで往復することとし、山頂から緩やかな下りに入る。イワカガミの群落などある豊かな尾根。大きく下って登りかえしてコブに到着、展望もないので、すぐに折り返す。いつかは行きたい唐沢岳、そして餓鬼小屋にはぜひ泊まりたい。

赤い屋根の餓鬼小屋と餓鬼岳              山頂にて w/ 片桐クレッター

唐沢岳への稜線                 先ほど辿ったケンビシの尾根

餓鬼のコブからの帰路、餓鬼山頂を望む          イワカガミの群生


帰路は餓鬼岳を巻いて小屋に直接出て、大凪山への稜線に入る。百曲がりに差し掛かると黄色のミヤマキンバイ(?)が沢山ではなやかである。白沢ルートで登ってきた数パーティとすれ違う。きれいな山ガール達もいて、ますます華やか。どうやら東沢からの道の方が今はマイナールートのよう。どんどん下るも結構上り下りもあって、大凪山14:30。休んでいるとさらに数パーティ。燕への縦走か、結構大きな荷物の人が多い。白沢への下りはざら場も多く、一般道にしては結構大変。

餓鬼岳は花の山でもある  ゴゼンタチバ      ミヤマキンポウゲ       サンカヨウの実(はなせんせで教わった)   

ミヤマトリカブト(?)        ハクサンチドリ(?)        ハクサンシャクナゲ(?。開花株はまだ少ない)
  
チングルマ               ミヤマキンバイ            リュウキンカ
徐々に疲れがでてくる。ここまでおにぎり5つを食べたのだが、それでもシャリバテ気味。立派な魚止の滝の下で、再度カロリーメートとブドウ糖で燃料補給して、足を引きずるようにとぼとぼと行く。途中、道を補修作業の方に挨拶をして、大きな高巻きや渡渉を繰り返していく。この道の維持はさぞ大変であろう。感謝。
いい加減嫌になったころ、16:30白沢堰堤入口の林道に到着。
白いから白沢であろう。
ここから、信濃常盤の駅まではさらに2時間か。19:18の電車に乗らないと今日中に家に帰れないので、またもとぼとぼ歩く。大きな舗装道に沿って歩いていると、一台の車が止まり、先ほどの作業の方が声をかけてくれ、乗せていただくことに。6月の雨で白沢も東沢も渡渉用の木橋等が流され、またトラバース道も随分つけかえているそうだ。また、本日は紅葉の滝で滑落者があり先ほどまで救助だったとのこと。駅でお礼を行ってお別れし、無人駅の待合室で着替えや荷づくり。松本からあずさに乗って無事帰宅。
 信濃常盤駅から餓鬼岳



(コースタイム)
06:05 中房温泉 (1450m)
08:25 東沢乗越
11:25/45 餓鬼小屋
11:50/55 餓鬼岳(2647m)
12:45 餓鬼のコブ
13:15 餓鬼小屋
14:30 大凪山
16:30 白沢堰堤林道(990m)
17:10 車に拾ってもらう(750m)
17:20 信濃常盤







コマクサにも会えた



(メンバー)単独
(移動距離・登下降高度 by カシミール)総距離約21km 累積登行1650m、累積下降2400m
(地図)一般道につき省略