雨の雨飾山(南稜→本峰)

teradaya2012-06-09

この週末は、山の会の仲間と滑り納めを計画し、9日(土)は白馬大雪渓方面、10日(日)は針の木方面、間の宿泊は鹿島槍の麓の岳○ヒュッテとしていたのだが...。最初は晴れ〜曇りだった週末の天気予報は、なぜか私がリーダーの土曜だけ雨と変わり、ついには降水確率80%に急上昇!久々に雨男パワーさく裂で、計画は中止となってしまった。
しかし、今月はこの日しか出掛けられないこともあり、雨ならではの山に行くこととした。
雨飾山(1963m)は、常に雨に飾られている山という素敵な由来の名をもち、大好きな双耳峰であるが、なぜか山頂には縁がない。山頂から荒菅沢の滑降は計画するたびに挫折し過去3回南尾根(南稜)のP2までしか行けていない。P2から山頂まではほんの少しなのであるが、岩場でスキーでは厳しいという。
久々に開いた「日本登山大系」によれば「厳冬期〜残雪期の好ルート、初心者がいればザイルを出した方がよい」といった記載であるので、雨の一日、6月入梅日に生まれ(奇しくも標高と同じ年の産)の雨男として、行ってみることとした。

予報では午後から回復気味とのことであったので、遅めの出発とする。先月はスキー背負いを歩いて入った大海川の駐車場まで車で入れた。9時15分、小雨の中出発。大人気の山もハイカー数組・山スキーゼロでこの時期は閑散期。大海川沿いの夏道は半分くらい雪に埋もれていて、水芭蕉の群落が雪の間に顔を出す。

スタートは木道も出ているが...                         雪もまだ残る 清流にミズバショウ

夏道は大半が雪の下

徐々に雪上歩きへと変わる。ひとり難儀をしたハイカーが引きかえすとのこと。自分はしばらく夏道沿いに行き、いつもP2から滑降する際の沢に入り、これを詰めて南尾根稜線まで登ることとする。アイゼンをつけて小雨の中を独り登っていくがザレていて滑りやすい。稜線直下10m程は雪が切れたが、稜線上はまたかろうじて雪面になっている。11:00稜線到着、小休止。
いつもシールでジグを切って登るP2への斜面は雪が消えていて猛烈な藪こぎに!普通は踏み跡程度は有りそうなものであるが、ほとんどない。おまけに左右が結構切れ落ちている痩せ尾根なので、稜線上を忠実に行く(しかし、よくあんな所をいつも滑るなぁと言う感じ)。
  
登りついた稜線にはかろうじて雪が                  しかし、すぐに猛烈なブッシュになる
 
こんなのも越えていく                        右手側は布団菱岩稜が切れ落ちる
 P2と思しき小ピークにて

P2からの下りは不安定な岩斜面。木を掴みながら、じりじりと前進。P1とのコルからいよいよ核心の40mの岩場となる。Ⅲ級程度らしいが、何せ落ちれば両側とも谷底なので気をつけていくこととし、ストックや給水チューブ等をザックに格納する。雨の中なので結構嫌だが、戻りの藪こぎをする気もしないので、気合で直登する。ボロボロの残置ロープがあるが使う気になれない代物(写真参照)。残置ピトンがなぜか1本。逆層気味の脆い岩場であり、慎重に行く。スキー背負ってだとちょっと厳しいかという感じ。

P1正面全貌                            残置ロープの支点はもはや死に体
P1よりようやく本峰を望む

P1までくると、緊張する場所はもうないが、山頂まではまたしても猛烈な藪こぎ。やはり冬から春の雪稜+岩ルートとしてのみ登られているのだと思われた。12:00山頂着。

P1から山頂までもまた藪こぎ                        山頂(奥のブッシュから出てきた)
強風に身を伏せるチングルマの群生

誰もいない山頂で写真を撮り、にわかに暴風雨となって寒いのでおとなしく夏道を戻ることとする(荒菅沢を降りようかと思ったが
ガスで何も見えないので断念)。しかし、夏道も雪に覆われているので、見失うことしばしば。ちゃんと地図&コンパスでナビゲーション。高山植物が多く、雨に濡れて美しい。
 
夏道の荒菅沢横断地点(下ってきた人1名)          荒菅沢を見上げる

荒菅沢を途中横切り、ブナの森に入ると、霧の中に雪とブナの幹や葉が合わさってよい雰囲気である。雨の山は良い!
14:30に駐車場に戻り、キャンプ場の泥洗い場やトイレを有り難く使わせていただき、下山した。
 
大海川にブナの新緑                     雪上に実が散らばる
 
大木も多い                         雨のブナ林は良い気持ち
今回であった花々
 
南尾根に多かったシラネアオイ(だと思う)                  チングルマ
 
オオカメノキ(アジサイの仲間?)                   イワカガミ

村営雨飾荘で入浴したかったが、15時までだったので、久々に八方「みみずくの湯」に行く。途中小谷の集落で巨大な猛禽(イヌワシだ!)が茶色い動物を掴んで飛び立つところに遭遇(気の毒に、驚いたのか落してしまってたが)。村田酒店で「雨飾山」と「小谷錦」の純米酒も入手。
その後岳○ヒュッテに合流し、大先輩の岳人達の武勇伝を聞かせていただき、H野シェフの料理をいただいた。21時に出て、深夜に帰宅。後刻、本日関東甲信越は梅雨入りしたとの報。雨男本領発揮。
カメラは防水本家 μ1020。

南稜岩稜ハイキングが3点そろって、ちょっと嬉しい。
  ⇒奥穂南稜 http://d.hatena.ne.jp/teradaya/20060928  ⇒阿弥陀南稜 http://d.hatena.ne.jp/teradaya/20081012

(メンバー)単独
(コースタイム)
  駐車場9:15  
  沢下 10:20 
  南尾根稜線11:00/11:10 
  P1岩場下11:45 
  雨飾山頂12:00/12:10
(地図)ルートは推定
  
(備考)
今回試したギア:
①アウトドアリサーチ超軽量雨具上着⇒結構蒸れる。エントラントみたい。しかし防風性はあり、まあ使える。
②ファイントラックソフトシェルパンツ⇒ひざ下はさすがに水浸透。しかし、腰回りは耐えたのはすばらしい。蒸れない分総合的な濡れは少ない。ゴアインナーの革靴はぐしょぐしょになる程の雨天の緩雪&藪こぎだったので、素晴らしいと思った。