羊蹄山登頂&標高差1500m滑降

teradaya2012-02-20


ニセコ新雪を目指し、S木さん、Hさん&I江さんと五色温泉に投宿。羊蹄山からの会心の滑降を楽しんだ。

18日 早朝起き出して家人を起こさないようそっと羽田空港に向けて出発。マイル利用で予約した7時40分発AirDo便はガラガラで、窓側3列シートを独占し深く眠って千歳に到着。後続便で到着する3人を待つ。レンタカー会社のバスで事務所に向かい、4WD車を借りる。エクシーガ(レガシー3列シートタイプ)だったので、4人でちょうどぴったり。千歳市内スーパーで買出しをする。かつて道内勤務していたHさん、I江さんの助言を基に、魚は「八角」を刺身にしてもらいホッケはおばちゃんのお勧めの一番太ったのを購入、肉は「牛下がり」はなかったものの焼肉用牛豚と南蛮漬け用鶏肉を中心に仕込む。アルコールも存分に買い込み、いざニセコへ。途中昼食を取っていたりしたので、アンヌプリスキー場には2時過ぎに到着。高曇りであるので、急ぎ仕度をしゲートオープン中とのリフト係のおねえさんの言葉を受けてゴンドラへ向かう。週末なので混んでいるが、リフト1本もつないで14時45分にリフトトップへ。しかし!、ゲートは無情にも閉鎖されており(おそらく時間切れ)、泣く泣くゲレンデ滑降とする。優雅に滑るつもりが、片側のTLTフロントがしばしば誤開放。ブーツ側穴に氷が詰まっていることが原因のようで、一度じっくりクリーニングしたら問題なくなった。
五色温泉まで車を走らせて旧館の畳部屋に納まる。N江さんにも会えた。温泉で温まり、しばしワインとチーズ・サラミ等つついた後、厨房で夕食の準備。I江さんは手際がよいので今日の中心。調味料を忘れてしまい厨房にて分けて貰いに行くと、昨年イワオヌプリ山頂でご一緒したO田さんが今年も勤務中で親切にもわさびまで擂っていただく。4人でてきぱきやったので大量の焼肉ができあがり、珍味「八角」の刺身も加え、たらふく食べて飲む。外はしんしんと雪。

19日 雪は50センチほど積もったが、冬型は強く無いようである。羊蹄山の東斜面喜茂別ルートに向かう。駐車場の除雪がされていないので、車を出すのに大苦労して30分浪費。7時半に出発して登山口には8時15分着。路肩駐車となるのだが、先行者の車が4台、あとからもう1台。地元の方から聞くと、最近人気なのだそうだ。東京から来たと伝えるとぜひ山頂まで行ってとエールをいただく。

そのパーティより先行させてもらい、山麓の緩斜面の樺の疎林をまっすぐに山に向かう。下半分しか見えないが、風は弱く雪も降ったりやんだり。気温はマイナス7度位か、あまり寒さを感じない。S木さんやI江さんはアウターを脱いでいる。先行2パーティ(?)のトレースがしっかりついているのでのんびりと歩く。林道横断を数回して、徐々に高度を上げると、右手に深い崩壊谷が現れる。こちらに下りで入らないよう頭に入れておく。

喜茂別登山口から木立の中の一本道                 新雪がたっぷり

2本目の途中で先行のスキースノーシュー混合隊が休んでいたので挨拶して先行。一番前のパーティは見えないがスキーのみのトレースが更に伸びている。かなり早く出発したパウダーハンター達であろう。我々も休憩を入れてから登高を重ねる。徐々に森林限界となり、木々が小さくまばらになる。1500m手前で左手にスキーヤーが雪を巻き上げ滑降していった。歓声を上げて見送る。たぶん今日の一番乗りパーティであろう。しばし登るとトレースは消えたので、ここからは膝下程度のラッセルである。私は後ろで力を温存していたので先頭で頑張ることにする。良質の雪面にジグを切っていく。真っ白な斜面なので凹凸が見えにくい。上方の小さな木立を目印にしてなるべく角度を取って高度を稼ぐ。途中一度右手側小尾根に乗り上げたところ、ウィンドクラストとなりシールではきつくなる。クトー装着(S木さんはアイゼン)とするが、進行方向を左に転じ小尾根間の谷地形を登路にとると再び良質の粉雪となり、シールが快適に効くようになる。これならば滑りも大いに期待できる。高度があがるとさすがに突風もあり、寒さを感じるので、目出帽、フードも装着して更に登るが、結局山頂までこの良い雪質が続き、頂上稜線に13時50分に到達。羊蹄山最高地点のわずかに南側(1880m)である。一面ガスに包まれ火口側からの風が強くてゆっくりとはとても休めないが、I江さんが写真を撮ってくれる。何故か猛烈な空腹を感じ、カロリーメイトブドウ糖を摂取し、温かいテルモスの湯を飲んで、滑降準備。
1650mでクトー装着(その後使う必要はあまりなし)
 山頂直下でラッセルをがんばる私(Iさん撮影)          
 風雪の山頂。右側がお鉢(Iさん撮影)

14時過ぎ、GPSとコンパスナビで慎重に方向を定め、S突撃隊長を先頭にスタカットで滑降。雪質は極上、視界もある程度あるので快調である。数ピッチ区切って滑っていると、徐々に雲間から山麓の大地が見え始める。飛び込むように無木立の大斜面に大きな雪煙を巻き上げて好きなように滑る。天国である。下るにつれて尻別岳方面も見え、時々日も差して雪面が美しく映える。長い滑降を思う存分楽しんで、森林限界のあたりで大休止。
 
雲の切れ間から大地が!            目印の木からまっしろな斜面を....
 
好きなように滑り、            雲の下へ

尻別に向かって滑る私(Iさん撮影)

自分達のシュプールだけが刻まれた大斜面を見上げ、大展望に心も和む。そこから下部も広く快適な粉雪斜面である。他パーティもすでに滑降に入っているようで、徐々にシュプールが交じるようになる。最後は真っ直ぐな登りトレースが共通の道となり、ひたすら真っ直ぐにスタンディングポジションで林の中を飛んでいく。
15時25分、車道に到着し、極上の滑降は終了。待っていてくれたエクシーガに乗り込み、食料の追加買出し(S木さん待望の日本酒も!)をして、宿の温泉に直行。今日は空いていて露天風呂も貸切。Hさん渾身の鳥南蛮と巨大ホッケで、他パーティ女子も羨望の声を上げるご馳走の夜が深けた。
      
 
素朴な五色温泉旧館の自炊棟         Hさん渾身のの「鳥南蛮」

下山した際に、初めて両手指に凍った感触を覚え、凍傷になったことを知る。車中では腿の下に入れて温め、買出しの際にペットボトルの飲みものをカイロ代わりに購入。宿では温泉でぬるめ(40度くらい?)の湯に30分浸かり解凍。強い痛みを感じつつも耐える。その後は調理をサボらせてもらい、お酒も控えめにして早めに就寝。

20日 朝少し雪が降るも、視界もあり高曇り。帰途につく日であるが、アンヌプリ北壁は十分に行ってこれそうである。自分は指がパンパンに膨張しているので残念ながら病院に行くこととし、皆をアンヌプリスキー場に送る。G2ゲートは閉まっていたそうだが、ヒラフ側G3ゲートが開いていて、そちらから無事山頂に到達し、北壁大斜面を堪能したとのこと (羨ましい)。自分は倶知安の厚生病院に行き、外科の外来で診ていただく。切ったりするようなことにはならない程度と思われるので、鎮痛剤と神経回復用ビタミン剤をもらって帰る。本来は皮膚科の所管らしい。急速解凍するとあまりよくなく、水で解凍するほうがよいよ、山の人ならちゃんと知っておきなさい、とのこと(このあたりは再度研究しておきたいが、やはり急速解凍が今の教科書のようだ。)
その後、両中指から小指が特に痛く、左小指と両中指に1センチほどの水泡。左小指のは徐々に膨らんできたので、S藤さん他山仲間の助言を受けて横浜子安の専門医「S田クリニック」へ行くと、10本とも凍傷で要経過観察。ただし、投薬等の対象ではなく、時間が薬、とのこと。少し安心しているが、本日(24日)もキーボードは大いに不自由。明日また通院。

(コースタイム)
喜茂別登山口 8:20
1500m付近 11:35/12:35
羊蹄山山頂稜線(1880m)13:50/14:10
1100m付近 (大休止)1450/15:10 
登山口 15:35
(総登下降距離)1500m
(GPSデータ)

(装備)
自分 K2クンバック、TLTスピード、ディナフィットエアロ3バックル