八ヶ岳横断(富士見駅⇒清里駅)、阿弥陀南稜と真教寺尾根

teradaya2008-10-12


 5万分の一の地図で最も美しいのは「八ヶ岳」では。山麓の等高線がゆったりと広がっていくのが良いが、実は今まで一度も登ったことがない。秋の晴天の下、中央線富士見駅から阿弥陀、赤岳を越えて小海線清里駅まで、Station to Stationのロングラン山行にトライ。
 ここのところ、毎晩会食でビール漬け、おまけに風邪でへろへろであったが、天気がよさそうなので決行。八王子駅からムーンライト信州号に乗車。乗客は登山客と鉄道ファン。しかし、未明の富士見駅で降りたのは私ひとりであった。
 身支度をして、3:50にスタート。真っ暗な跨線橋を渡り山に向かって歩く。零度近い寒さで、ダウンセーターに手袋で装備。中央高速を越え、ひたすらアスファルトの道を行く。下調べをよくしていないが、なんとなく分かるだろうとどんどん行く。しかし、これが大誤算。途中新設された立場川大橋を渡ってしまい、以降高原野菜や別荘地の中を大迷走。真っ暗な中、GPSと地図で抜け出そうとするも、Uターン道にはまってリングワンデリング(!)。明け方の別荘地を怪しまれながら通過し、ようやくかなり遠回りして立場川キャンプ場の登山口方向に戻った。恐るべし里の道、油断大敵である。
     
ムーンライト信州号で富士見に到着    誰もいない富士見駅  迷い込んだキャベツ畑、怪しまれそう
 
暗闇の南ア連山         ヘビに注意@立場川キャンプ場(J嬢が嫌いそうだ)

 気を取り直して、阿弥陀南稜の取り付きである立場川上流の旭小屋に到着。キノコの山らしく、立ち入り禁止だのなんだのやたらと看板。ようやくダウンを脱いで、気にせず尾根に取り付くが、立場岳までは一直線の強力な登り。まったく、屈曲も緩みもない一本道の登りはなかなかのもの。立場岳を越えるとようやく展望が開けてきて、紅葉の八ヶ岳が美しい。青ハゲといわれる小コルあたりでは富士山や北アルプスの全山、南アルプスなどが見通せる。八ヶ岳のたおやかな山麓も錦秋の美。
秋① 秋② 

 ここから、阿弥陀南稜の岩壁が迫る。3級程度の簡単な稜線であるが一応バリエーションなので気を引き締める。先行パーティを1組抜いて、核心の「桶」といわれるクーロワールに入る。トラバースの1手がちょっと微妙。難しくはないが下が切れているので慎重にいかねば。クーロワールの中にもう一組ロープを伸ばしているパーティ。先に行かせてもらう。流水が凍っているので気をつけて登る。ところどころにリングボルトやシュリンゲがあるが、無視して直上。引き続き岩稜をいくが、岩は比較的硬く快適。休憩中の2人に山の幸のココモモの実をいただき、小休止後もうひと登りで賑わう阿弥陀山頂。
立場岳で休憩 北ア遠望(大キレットあたり)青ハゲから阿弥陀を望む 阿弥陀南稜P3
「桶」。一部氷が張っているコケモモの実(すっぱい)

 八ヶ岳は初めて来たが、人の多さにびっくり。少しお腹に燃料を入れて、赤岳に向かって一旦コルまで下降し、登り返すが、どこもここも人だらけ。赤岳山頂は団体登山などでごった返しているが、展望は一級品。とくに山麓の紅葉は見事である。休まずに真教寺尾根の分岐にもどり尾根に入ると、鎖場だらけのなかなか急な尾根。数パーティをやり過ごすとあとは静かな尾根となった。ひたすら下降しはるかに見える清里高原を目指す。途中スキー場のリフトがあり、大勢の家族が楽しんでいた。今日は行楽の特等日。おもわず家族を思ってしまった。足は疲れたが、今日は駅まで歩くのが課題であるので、さらにどんどんと下る。美し森で南アの展望を楽しみ、駐車場に到着。
 サポートタイツを着替えて軽やかになり、清里駅まで歩いた。約12時間、36kmの長い山行であったが、なぜか足も腰も元気でちょっとうれしくビールを飲んだ。

  
一応赤岳(すぐに退散)     富士山            こちらも雲の上に
   
右が真教寺尾根、左が県界尾根   秋③            秋④ 
       
美し森駐車場から赤岳を振り返る   清里駅発は夕暮れの中17:00過ぎ


[コースタイム]
富士見駅(950m)  3:50
立場川キャンプ場  6:55-7:00
旭小屋  8:15
立場岳  9:40
青ハゲ  9:50-10:00
阿弥陀岳(2805m) 11:20-11:30
赤岳(2898m) 12:20-12:30
真教寺尾根分 12:45
牛首山(2280m)  14:10
美し森駐車場 15:30-15:35
清里駅(1280m) 16:05

[のべ登高距離]2500m
[のべ下降距離]1700m
[水平距離]約36Km


2.5万分の一

20万分の一