乗鞍位ヶ原と摩利支天南東面滑降

摩利支天に向けて


山の会のメンバー10人で、位ヶ原山荘ベースに新雪滑降。昨年以上にコンディションがよく、初日は膝上のパウダーを満喫、2日目は摩利支天峰南東面のノントラック大斜面にシュプールを描いた。

1月10日(日)
前夜に車4台に分乗して、乗鞍高原温泉スキー場に集合。一週間続いた冬型がようやく緩んでくるタイミングである。スキー場第3駐車場脇のレストラン「やまぼうし」の仮眠室(昼間はキッズルーム)は暖房が利きこたつやマットもあり快適。今年はトイレも使えることになった。なぜか24時くらいまでは施錠されていたそうで先発隊はやむなく駐車場脇更衣室(ここもストーブあり)で休んだが、私たちが到着した1時半頃はちゃんと使えた。管理人さん、忘れてたのかも?
8時半のリフト始発にあわせて始動。リフト3本乗り継いで国設第三ゲレンデへ。ここは除雪が入らず朝一パウダーが狙えるので、各自2本足慣らしとする。どんどんシュプールが入るなか、我々も負けずに参戦。

9時40分、リフトトップからツアールートの切りとおしに向かって出発。先行数パーティを追って小雪の中シール登高していく。ゆっくり目のペースで位ヶ原台地直下で山荘に向かうルートを右に分け、台地に直登する。
切りとおしをいく
ツアーコースはらくちん
久々の大部隊
もうすぐ位ヶ原

天候の回復は遅く風雪が続いており、本日は稜線までは上がらないこととし、位ヶ原を北東に横断し、台地東斜面を滑って位ヶ原山荘に向かう。視界が利かないので、GPSによる計器行動となるため、先頭に出る。こうした広い水平移動はGPSがないと厳しいところ。予定通り台地を横切り、目指す斜面の上に出る。富士見岳あたりを滑ってきたのか1パーティを見かけたが、幸い東斜面までは入らなかったようである。
風雪の中を進む
滑降準備

いよいよ滑降モードに切り替えて、K代表をトップに飛び込む。この斜面は昨年何度も登り返して滑ったところで疎林帯の30度ほどで横に長く快適。北西の風にとばされてきた軽い雪が吹きだまっている。各自歓声をあげて飛び込み膝上の極上の雪質を楽しむ。私も今シーズン新調のファットスキーしんがりを行くが、良く浮いて心地よい。
いざパウダーへ
H瀬さんがいく
斜面の下は乗鞍スカイラインで5分で位ヶ原山荘に到着する。位ヶ原山荘の冬期営業は3シーズン目とのことであり、年末からこの3連休まで開いている。雪の林道に立つ「営業中」の看板に笑いながら、小屋番のR辻さんに再訪のご挨拶をし、一旦荷をおろして温かい部屋で昼食とする。
位ヶ原山荘(営業中)

2時、再度位ヶ原まで登り返し、滑降を楽しむこととする。台地の淵まで夏道沿いに登り、最初はスキーヤーレフトの斜面を滑降。名人T田さんやK代表はすっ飛んでいき、初参戦の弾丸娘N江さんもすばらしい滑り。A部さんやS脇さんも楽しそうに各自スタイルで、H瀬さんとH間さんも華麗にきれいな滑りを見せる。M須さんはブーツのバックルが壊れたそうだがそこはベテラン、ハンディを感じさせないウェーデルン。スキー経験のもっとも少なかったY美ちゃんは大幅に上達。もう中級だね。運動能力の高さを見せつける。斜面の幅があるので各自がノントラック部分をいただく。
再度シールを装着して登り返し2本目はライトの新雪をいただくこととする。Sさんはシールが貼りつかなくなったので下で休憩。他の皆もシールに苦労するが、私のコールテックスの新作吸盤タイプ(Ct40グル―)はこの低温でも全く問題なし(これはBCマップN藤さんのお勧め)。M須さんによれば、かつて毎年末乗鞍で合宿をしていたころもこの斜面に来ていたそうで、当時は灌木もずっと細かったそう。さて、ルート安全を確保したうえでもう一本。普段先頭を切らないA部さんにたまにはとトップをお任せ(なぜかこの時だけ大転倒でした)。私も少し自由をさせてもらい、下で待つS脇さんのところに一番乗り。
存分に楽しんだのち、山荘に戻る。気温はマイナス15度前後と冷えているが、ここはわれら山の会、雪崩危険度チェック(スコップテスト)の練習をK代表の指導の下で進める。さらにその隙に私が埋めたビーコンを捜索する練習。さすが3本アンテナのマムートなどは強く、地点特定は約1分、3分以内には掘りだしまで完了。
あとは持ちこんだ各種アルコールと大量のつまみをこたつでいただく極楽タイム。夕食はR辻さんの鹿鍋など贅沢させていただいた。この時期に2食付きで8千円とは...感謝です。信州大の雷鳥の先生ご一行は今年もご一緒であった。
ビーコン捜索訓練
寒いががんばる
快適な山荘

11日(祝)
昨晩は星空も見えたが、予想したほどの晴天ではなく、高曇り。おかげで雪質は引き続き良好。7時55分、山荘にお別れをして昨日作ったハイウェイで位ヶ原へ。富士見岳のカール状部も魅力的であるが、ここは予定とおり摩利支天へ向かうこととする。お目当ては南東大斜面である。もっとウインドクラストしているかと思っていたら、飛ばされてくるパウダーが吹き溜まり柔らかな斜面である。クトーもいらないほど。気温はマイナス10度くらい。登るにつれ、間近に穂高の岳沢あたり、遠く浅間が美しい。八ヶ岳南アルプスも見通せる気持ちの良い時間。着々と歩を進め9時45分、摩利支天峰つづきの小ピーク上まで登りついた。

管理人のR辻さんと(ありがとう)
再び位ヶ原へ
稜線にむかってシール登行
穂高がみえる
もうすぐ
もうすぐ2
本当にもうすぐ1
本当にもうすぐ2
やっと到着

乗鞍の火口群やコロナ観測所がよく見える。皆で写真を撮って、滑降に移る。ここでN江さんのザックが飛ばされて斜面下まで落ちてしまった。滑降コースの方向であったのは幸い。K代表が追いかけて確保。その滑りの楽しそうなこと。まっさらな斜面に綺麗なショートリズムのトラックが刻まれる。さて、ここはひとりひとり滑ることとする。10時ちょうど滑降開始。くるぶし上くらいの軽い雪が一枚バーン全面に広がっている。パラレルでの大回りもウェーデルンもお好みのまま。位ヶ原から見上げる10本のシュプールに大満足であった。
N江さんとY美ちゃん
摩利支天南東面を滑降
シュプール10本

位ヶ原を横切り、切り開きのツアーコース上部に出る。まだ10時25分で、ようやく本日スタートの方が登りつく頃であるが、我々は下山開始。登る方の邪魔をしないように気をつけながらなるべく新雪を拾っていく。途中昼食タイムを取ったのち、11時10分、スキー場に帰着。スキーは早い。
今日はこのまま名湯白骨温泉へいくこととし、峠道を8キロ進む。日帰り入浴タイムは13時までとのことであったが早出行動のため余裕。「泡の湯」の白いお湯で温まり、看板に従い大天風呂に行ってみると....。廊下が階段になってお湯に入るようになっており、そのまま歩いてのれんを潜ると....なんとここは混浴の露天風呂であった(まっ白いお湯ですから女性も大丈夫だが)。ご家族やカップル、いろんな人がいるなか、会の女性陣2人とお話。なんとも妙な感覚であった。
最後は乗鞍に戻り、水車粉引きの「中之家」さんでそばをいただく。昨年も来たが、ここのそばはうまいし漬物も絶品。
3時前には高速に乗り、ほぼ渋滞なしで夕食時には皆帰宅した。

[メンバー]K代表、H瀬、H間、T田、M須、A部、S崎、N江、N川、寺田
[行動記録]
10日(日)
9:40  リフトトップ発
10:35/10:45 2300m付近
11:25 2450m
12:05 位ヶ原台地東南端(ツアーコース切り開き終点)
12:30   位ヶ原北東端
12:50/14:10 位ヶ原山荘
14:40 位ヶ原台地北東端(滑降2本)
16:10 位ヶ原山荘

11日(祝)
7:55 位ヶ原山荘
8:25 位ヶ原北東端
9:45/10:00 摩利支天北東稜線上
10:20 位ヶ原台地東南端(ツアーコース切り開き終点)
10:45/10:50 一本
11:10 リフトトップ
11:25 第三駐車場

[装備]各自いろいろ 私 K2 Coomback 182cm、TLTスピード、Dynastar AERO
[地図&GPS]